坪井彰宏氏 あいさつ

はじめまして、坪井彰宏と申します。僕は今まで、大きな劇場で上演される演劇に参加してきましたので、下北沢駅前劇場でアーサー・ミラーの「壊れたガラス」を演出できる機会をいただき嬉しく思っております。

小さな空間で、俳優の息づかいや体温も感じられるような芝居をつくりたい!と思って、不安を抱えながら演出家として歩み出した僕にとって、パンケーキの会のさこうみちこさんとの出会いは本当に幸運でした。彼女と実際にお会いして演劇のお話を聞くと、もうとにかく話が止まらない・・・。演劇愛に満ちた言葉と、演劇を信じている目の力で一気に僕の心は奪われてしまいました。

この感動を忘れないように、さこうさんが愛情を込めて翻訳してくださった作品と、誠実に向き合いたいと思います。



【坪井彰宏さんのこと】

坪井さんの作品を拝見した時、空間の密度、そこに流れる時間の強度に、圧倒されました。まだご自身の作品がそれほど多くない演出家ですが、その一貫した鋭さはとても魅力的。でも、実のところ、まだ彼がどんな演出家なのか、私は計りかねています。でも、演劇的才能と「無限の可能性」を彼が持っていることだけは確信しています。

「現代」に生きる彼の創作が、アーサー・ミラーという巨匠の名作にどう作用するのか・・・。

夫婦という最小単位の人間関係のミクロの視点と、世界や社会といったマクロの視点が交錯して書かれている「壊れたガラス」は間違いなくアーサー・ミラーの傑作だと、私は個人的に思っています。そして、若く才能あふれる坪井さんにとってこの作品が代表作になることを願いつつ、彼がどうアーサー・ミラーに挑むのか、今から稽古場が楽しみでなりません。

パンケーキの会 さこうみちこ



坪井彰宏プロフィール

大阪芸術大学舞台芸術学科演技演出コース卒業後、新国立劇場演劇研修所公演に演出助手として参加。以降、栗山民也氏の演出助手として10年間で50本以上の作品に参加。近年は『ハリー・ポッターと呪いの子』、『ビリー・エリオット リトルダンサー』に演出補として参加。9月に博品館劇場にて朗読劇『カサブランカ』を演出する予定。


パンケーキの会